田鶴濱守人さんの黒錆の器

愛知県半田市の田鶴濱守人さんの器のご紹介です。お店を行なう前から、田鶴濱さんの器が好きで個人的にも使用しておりました。その頃から今までお作りしている器の骨格の部分は全くぶれていないように感じます。

どうしても創作活動を行なっていると、自分自身が作りたい物よりお客様が欲しいものに傾いていってしまうことがあります。そのことが悪いことではありませんが、いつの間にか本当にご自身が作って行きたい物の方向性がわからなくなってしまうことがあると聞いたことがあります。やはり陶芸は芸術の中でも個人の方に使っていただける、比較的身近なものです。そのため使い手さんのことを考えすぎてしまうことが多いのだと思います。

田鶴濱さんはそのような中で少しもぶれずにご自身が土で表現したいものを、コツコツと地道に作られている作家さんです。土という素材をどのように活かして、形にしていき、出来上がった器が長い時間をかけて使っていただきながらどのように変わっていくのかということを、真面目に考えていらっしゃるような気がします。

シンプルな鉄釉の鉢です

上の器は黒錆シリーズの麺鉢です。直径17cm、高さ8cmの大きすぎないサイズでうどんや蕎麦から丼物まで重宝に使っています。写真のようにポトフなどの洋風の煮込み料理にも使いやすく、一つあると万能です。昔から作られている器ですが、現在も同じように製作されています。昔作っていた物を変わらず作り続けるのは、考えている以上に難しいと思います。飽きられてしまったり、新しい物を製作したくなったりすると、古い定番のものを作る時間がなくなってしまうとおっしゃる作家さんもいらっしゃいます。また土や釉薬などの材料がなくなってしまったりして、同じ質感や仕上がりが難しくなることもあると聞きます。前と同じ物をと頼まれて発注すると、以前と同じ物は作れないですと伺うことも多々あります。

私はどちらかというと使ってみて気に入るとプレゼントで人に贈ったり、買い足して枚数を増やしていく買い方をいたします。お客様でもそのような方が多いのでどちらかというとその作家さんの定番の物をアイテムを少しずつ変えながらお願いすることが多いです。田鶴浜さんはそのような要望に応えていただける、とてもありがたい作家さんです。

こちらは定番のプレート大です

上の器は黒錆プレート大です。直径26cmあり底がフラットで縁が少し上がっています。この形はかなり使いやすく、和洋問わずに自宅でも重用しています。洋風のポークソテーと付け合わせや今の季節ですと冷やし中華や冷製パスタなどもきれいに美味しそうに盛り付けができます。

こちらは小サイズです、取り皿に使いやすい大きさです

黒錆プレートは小サイズもございます。直径16.5cmほどで5寸サイズより少し大きめで使いやすく感じます。黒錆のものは真っ黒ではなく自然な鉄釉の色合いでお料理が馴染みやすく、美味しそうに引き立ててくれます。

近く黒錆の器が入荷予定です。数は少ないのですがアイテム数がいつもより多めですので、気に入ったものをお選びいただけましたら幸いです。

田鶴濱さんの器ですが、できればレンジや食洗機の使用はお控えいただければと思います。割れたりすることはまずありませんが、気にしていただいた方がやはり良い状態を保てます。

派手ではありませんが、誠実で使い勝手の良い土の風合いを感じる器です。末永くご愛用いただければ幸いです。

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